ここでは、外務省の「海外安全ホームページ」と「世界の医療事情」、それから在エジプト日本国大使館がまとめている「安全の手引き」を中心に、エジプト旅行に行く前に「知っておくべき危険なこと」や「ルール・常識」などをまとめています。
個人の体験談だけでなく、国が公式に注意していることをお伝えします。
ラクダ引きに注意!カモられることも!
まず1つ目、ラクダに乗る体験でのトラブルです。
ギザのピラミッド観光の定番なんですが、ここに典型的な手口があります。最初に「安いよ、安いよ」「〇〇ポンドだよ」と誘われて、気軽に乗ってしまう。すると、あとから「長く乗ったから追加料金」「一人で降りられないなら追加料金」「帰り道は追加料金」「写真を撮ったから追加料金」と、最初に了承していない追加料金を請求されることがあるそうです。
このうち、特に厄介なのが、帰り道の追加料金です。入り口から一番遠い場所まで連れて行かれた後に、「戻るなら追加料金」と言われる。最初に聞いていたのは片道分の料金だけで、戻りは別料金、と後出しされるわけです。結果的に、当初の説明より、実質倍近い金額を払うことになってしまうこともあります。
トラブルを回避する対策は?
対策としては、乗る前に、料金を紙に書いてもらうなど、はっきり確認すること。この時、往復であることまで含めて確認するのがポイントです。できれば、個人の客引きではなく、信頼できるツアー会社経由で予約しておくのが一番安心です。
タクシーとトゥクトゥクの注意点
外務省の海外安全ホームページには、深夜や未明の法外なタクシー代の請求、特に一人で乗ったときの請求が、典型的な手口として載っています。
大使館の「安全の手引き」では、声をかけてきたタクシーは、なるべく利用しない。乗るときは後部座席に座る。貴重品はトランクに入れずに、自分で持つ。運転手に「車の調子が悪い」と言われて降りるよう求められたら、運転手が先に降りたのを確認してから降りる。相乗りは断る。そう書かれています。
そして、トゥクトゥク。これは、車両の登録や運転免許の制度が徹底されていなくて、運転しているのが子どもということもある、として、原則として利用は控えるよう書かれています。暗がりに連れ込まれて、荷物を奪われる被害が、しばしば起きているそうです。
つまり、料金の交渉の前に、そもそも乗らないのが、公式のおすすめです。ツアーで移動する分には、手配された車を使うので、この心配は少ないはずです。
配車アプリの注意点
大使館の手引きでは、ウーバーやカリームなどに登録されていることで、ある程度の抑止効果はあるけれど、タクシーと同じように、警戒を怠らないように、と書かれています。
注意点は2つあります。
1つ目は、ウーバーの車だと偽って客を乗せて、降りるときに高額な料金を請求する詐欺があること。乗る前に、自分が呼んだ車か、ナンバープレートをよく確認してください。
2つ目は、古かったり整備が悪かったりする車が多くて、特に後部座席のシートベルトが使えない車が多いことです。
それから、これは旅行者の体験談ですが、アプリで支払い方法を指定していたのに、現金にしろと何度も迫られた、という話もありました。どうしても折り合わなければ、無理せず乗らずに、別の車を呼び直しましょ。
声をかけてくる人に注意!
典型的な手口としては、偽のツアーの催行、観光ガイドによる法外なガイド代の請求があるそうです。大使館の手引きには、観光地で知り合った人に夕食に誘われて、料金の前払いを求められて払ったら、そのまま持ち逃げされた、という被害例も載っています。
基本の心構え
基本の心構えとして、声をかけてきた人や、現地で知り合った人を、安易に信用しない、とあります。手引きには、外国人である日本人に、何かを尋ねたり、助けを求めてきたりするのは、不自然だと考えるように、とまで書かれています。
もう1つ、エジプトには「バクシーシ」という習慣があります。お金のある人が、貧しい人に施しを与えることで、チップの意味を含む場合もあるそうです。ただ、観光客が訪れる場所には、何の対価もなく、バクシーシを求めてくる人もいます。渡すつもりがないときは、アラビア語で「ラー」、ノーという意味ですが、そう言って、断る態度をはっきり示すことが大切だと、外務省に書いてあります。
偽警察官に注意!
警察官を名乗る人が、捜査と称して所持品検査をして、現金や携帯電話を抜き取る手口。もう1つ、路上での飲酒の取り締まりを装って、現金や携帯電話を取り上げる手口もあります。こちらは、路上での飲酒に誘ってくる仲間と、偽の警察官が組んでいる場合があるようです。
ニセ警官対策
警察官だと言う人に身分証の提示を求めること。所持品を相手に近づけないこと。相手が車を使っていたら、ナンバーを控えること。周りの人に、通訳の協力を求めることです。
スリやひったくりに注意!
大使館の手引きには、具体的な手口が載っています。「背中にチョコレートがついていますよ」と言って近づいてきた人が、その間に、ズボンのポケットから財布を抜く。刃物でバッグを切り裂いて、財布を盗む。子どもに囲まれて話しかけられている間に、持ち物をすられる。写真撮影中や買い物中に、バッグから抜き取られる。「落とした物を探して」「気分が悪い」と助けを求められて、手伝っている間に抜かれる、という手口まであります。
ひったくりは、後ろから近づいてきたオートバイやトゥクトゥクに、バッグや携帯電話を奪われる手口です。
対策
対策は、スマホなど高いものは外に見せずに、バッグにしまうこと。ポケットからは抜かれる可能性が高いようです。
バッグは体の前で持って、車道と反対側に持つ。歩きながらスマホを見たり、イヤホンで音楽を聞いたりしない。そして、ツアーやグループで行動する場合も、貴重品は自分で管理することになります。
バッグをひったくられそうになったら、大声で助けを求める。アラビア語で泥棒は「ハラーミー」ですが、何語でもいい、とあります。ただし、けがをしないように、無理に抵抗はしないことです。
もし、パスポートを盗まれたら?
大使館で新しいパスポートや、帰国のための渡航書をもらっても、それだけでは出国できません。エジプトは、入国したときのパスポートで出国するのが原則なので、出入国管理の当局での手続きが、さらに1日から2日かかります。
つまり、帰国の予定日に帰れなくなるかもしれない、ということです。
観光地やホテルでの被害は、観光警察、126番に連絡します。ただし、強盗などの重い犯罪以外は、十分な対応がされないことがあると、手引きに書かれています。
アラビア語しか話せない警察官が多いので、信用できる現地の人に同行を頼むことが勧められています。
何といっても、パスポートはなくさないようにしましょう。
写真撮影のルール
外務省の海外安全ホームページには、軍に関係する施設や装備の撮影は禁止されていて、警察施設や政府施設の警備状況も、規制や取り締まりの対象になる、と書かれています。しかも、そういう施設は、市街地や観光地にもたくさんあるそうです。
街頭の軍の装甲車を撮影して、当局に拘束されて、強制退去させられた例もあります。空港、港湾、橋、そして博物館や美術館、遺跡の内部が、撮影禁止になっていることもあります。人を撮影するときは、事前に本人の了承を得ることが、トラブル予防になる、とも書かれています。
報道では、2019年以降、遺跡や博物館でのフラッシュなしの撮影が広く認められるようになって、2022年には、個人で楽しむ撮影なら、許可も料金もいらないとされました。昔のガイドブックにある「カメラ禁止」という情報は、古い可能性があります。でも、だからといって安心しきらずに、禁止の表示や係員の指示には、必ず従ってください。
ちなみに、大エジプト博物館では、個人のスマホやカメラでの撮影は許可されていますが、フラッシュ、三脚、自撮り棒、ドローンは禁止、そしてライブ配信も禁止されています。さらに、撮った写真や動画は個人利用限定で、商用利用には事前の書面での許可が必要、と来館者向けの案内に明記されています。もしYouTube用に本格的に撮影したいという方がいたら、事前に問い合わせておくことをおすすめします。
水道水と食事の注意点
エジプトでは、水道水をそのまま飲むのは控えてください。外務省の「世界の医療事情」にも、水道水の直接の飲用は控えて、可能な限りミネラルウォーターを使うように、と書かれています。在エジプト日本大使館の水質検査では、水道水は日本の水質基準を満たしているそうです。ただ、品質は高くなくて、水道管や建物のタンクが古く、汚染のリスクがあるため、とのことです。
また、同じページには、屋台や路地で売られている飲食物も、衛生上の問題があるということです。外食は、ホテルや清潔なレストランで、よく加熱したものを食べるのが安全です。生野菜やカットフルーツも、汚れた水で洗われていることがあるので、果物は自分で皮をむくのがおすすめです。
ちなみに、エジプトで一番よくかかる病気は食中毒だそうです。4月から10月にかけては、胃腸炎や脱水症が急増する、とも書かれています。また、粉末の経口補水液を持っていくことが勧められています。
お酒は飲める?
外務省の海外安全ホームページには、レストランや観光ホテルなど以外の屋外での飲酒は避けてください、と書かれています。ということは、お酒を出すホテルやレストランの中で飲むのは、問題ない、ということです。
大使館の手引きにも、路上や公共の場所での飲酒を避けるように、とあります。そして、先ほどお話しした偽の警察官の手口には、路上での飲酒に誘ってくる仲間と、グルになっているものがありました。路上で「一緒に飲もう」と誘われたら、要注意です。
また、ラマダンの期間中は、お酒を出さなくなる店が多いと言われているので、その時期に行く方は、事前に確認しておくと安心です。お酒を日本から持ち込む場合の免税の範囲は、決まりがあって、変更もあるので、エジプトの税関の最新の情報を確認してください。
暑いから肌を露出していい?
エジプトの国民の約90%がイスラム教徒で、宗教的・社会的な慣習を尊重して、過度に肌を露出した服装での外出は避けましょう。
モスクを見学するときは、さらに配慮が必要です。一般的には、女性は髪を覆うスカーフ、肩や膝を隠す服装が基本とされています。軽い素材のスカーフや大判のストールを1枚持っておくと安心です。男性も、肩を出すタンクトップや、極端に短い半ズボンは避けた方が無難です。
蚊よりもハエ?
これは、外務省の資料には出てきませんが、乾燥した気候と、屋外の遺跡観光が多いことから、遺跡周辺や屋外での食事中に、ハエがまとわりついてくる、という体験談がよく見られます。気になる人もいると思われますが、かといって殺虫剤は持ち込むことはできないと考えておいた方がよいでしょう。食事は屋内のレストランでとりたいものです。
ドローンでピラミッドを上から撮りたい!
ドローンが身近になってきましたけれども、エジプト民間航空局などの関係当局の事前許可なく、エジプトに持ち込むことはできません。せっかくの旅行なので、ドローンで上から撮影したいと思っても、または飛ばす予定がなくてもダメなんです。
また、入国のときにドローンを一時的に預かってもらって、出国のときに返してもらうという制度は整っていなくて、預けた機体が出国時に受け取れないトラブルもあるそうです。
ですので、どんな形でも、エジプトにドローンを持ち込まないようにしましょう。
遺物の買取はOK?
エジプトは古代の遺物が多い国というイメージがありますが、そうした古い物を国外に持ち出すことは厳しく制限されています。
外務省の海外安全ホームページには、文化財、特に古美術品や遺跡からの出土品、一部の化石を、国外に持ち出すことは、厳しく制限されている、と書かれています。
持ち出す場合は、考古・観光省から営業許可を受けた美術商から買って、出国のときに、その美術商が発行する証明を、税関に出す必要があります。20世紀のお金も含めて、古銭にも持ち出しの制限があります。
市場で売られている「古代の遺物」の多くは、観光客向けのレプリカだと言われていますが、本物だと強調してくる売り手には、むしろ注意してください。お土産を買うなら、最初からレプリカ、工芸品として売られているものを選ぶのが安全です。
道路の渡り方と交通事情
車も歩行者も、交通ルールやマナーはないものとして、注意を怠らないことが重要です。常に車が優先で、歩行者が道路を横断していても、車は止まってくれません。
歩道も、穴やボコボコ、駐車している車、ゴミ、積もった砂など、整備が悪い場所が多いので、足元にも注意が必要です。
エジプト全体の2024年の交通事故の死者は、政府機関の公表で、年に5,260人。日本が2,663人なので、約2倍です。中距離長距離の移動では、夜間や雨の日は事故が多いので、できるだけ避けるように、とあります。
野良犬と狂犬病に激注意!
これ、本当に怖いです。エジプトは、狂犬病の流行地なんですね。
大使館の手引きには、2019年の議会での農業大臣の発言として、野犬が1,500万匹、野犬にかまれる人が年に48万人、と紹介されています。カイロ市内でも、野良犬や野良猫が多いので、むやみに動物に近づいたり、触ったりしないことが大切です。
かまれたり引っかかれたりしたら、必ず病院へ行ってください。狂犬病は発症すると100%死亡する、という恐ろしい病気です。
事前にワクチンを受けていない場合は、けがをした日から5回の接種が必要で、免疫グロブリンの入手は難しい、とあります。
観光地にそうした犬がいるのかわかりませんが、狂犬病の犬でなくともかまれたら病院に行くことになるので、知らない犬には近づかない・さわらないことを原則としましょう。
薬の持ち込みの注意点
持病の薬をお持ちの方は、特に大事な話です。外務省の海外安全ホームページには、個人用の医薬品は、持ち込める量が3か月分までで、持ち込みが禁止されている薬のリストがあるので、事前に駐日エジプト大使館に確認するように、と書かれています。
医療用の麻薬や向精神薬は、特に要注意です。処方箋が必要な薬は、英語の医師の診断書と処方箋、それから薬のオリジナルのパッケージ、これも英語のものが必要です。処方箋なしで買える薬でも、服用量を示す英語の資料と、オリジナルのパッケージが必要です。
一方で、「世界の医療事情」には、現地の薬は日本の倍以上の用量のことが多くて、日本の用量の薬が手に入りにくいので、使い慣れた薬を持参するように、と書かれています。持病の薬がある方は、日本の主治医に、英文の書類を相談しておくと安心です。
最後にどうしても3つ!
最後に、次の3つお伝えします。
1つ目は、外務省の「たびレジ」です。3か月未満の旅行者が登録しておくと、滞在先の最新の安全情報を、日本語のメールで受け取れます。
2つ目は、緊急連絡先です。警察は122、観光警察は126、救急は123、消防は180。在エジプト日本国大使館は、エジプト国内からは、02の2528の5910です。
3つ目は、海外旅行保険です。エジプトでの外国人向けの医療費は安くなくて、国外への緊急移送は、通常1,000万円以上かかる、と大使館は書いています。クレジットカードに付いている保険は、利用の条件があったり、補償額が低かったりすることがあるので、必要なら追加で入ることを考えて、とも書かれています。
というわけで今回は、エジプト旅行の注意点を、16個、お話ししました。
振り返ってみると、お金を取られる系のトラブル、体調を崩さないための注意、法律に関わる重大なルールまで、本当に幅広いですね。でも、1つずつ知っておくだけで、かなり安心して旅行を楽しめるようになると思います。
知らずに行って、現地で「えっ」となるより、事前に心の準備をしておく方が、絶対に気持ちに余裕を持てますよね。
ここにこれらの根拠となったURLを貼っておきますので、ヒマな時でもご覧になってください。↓↓
根拠URL
A 外務省 海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」(2025年8月13日更新) https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_094.html
B 在エジプト日本国大使館「安全の手引き(2025年8月版)II」(令和7年9月15日) https://www.eg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/r_safety_handbook_2.html
C 外務省「世界の医療事情 エジプト」(令和6年10月1日) https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/egypt.html
D GEM(大エジプト博物館)来館者向け案内ページ https://visit-gem.com/GEMIntro
